本作の企画の根源にある陣内監督お気に入りの1作。(1986年に撮影された「変な出会い」以降、11の作品で構成されている、コーヒーとタバコをテーマにしたオムニバス映画。)人生のセレモニーと写真を軸に、笑って泣ける物語を作りたいというところから脚本家・喜安氏へ監督自らオファーし、今回の企画が動き出した。

サブタイトル、Pictureに込められた陣内監督の思いとは?
写真は、魂を抜かれるみたいであまり好きではないが、写真について考えてみた。何故、人は写真を撮るのか?―きっと、写真には幸せの在処があるんじゃないか? 「あの時、こんなに幸せだった」という背景が写真には残る。それはまるで、幸せのアリバイ作りのようだ。

ミュージシャン出身の監督ならではのこだわりが、随所に込められている。中でも「誕生」に登場するプッチーニのオペラ「私のお父さん」と、「結婚」に登場するウエディングマーチには監督の特別な思いが。原曲の「私のお父さん」は、日本語に訳すと原語以上に心に沁みる歌詞になり、監督は「予想以上の効果だった」と語る。一方、ウエディングマーチは、ミュージシャン・冷牟田竜之氏が全面協力し、応援歌やレクイエムといったバリエーションにアレンジを加え、映像をより一層エモーショナルなものにしている。

「脚本をどう料理するのかは、監督の腕の見せ所。なかでも結婚式をどう料理するかが、僕の個性」と語る監督。バンドマンであり、ミュージカル俳優でもある監督ならではの演出が見せ場となっている。脚本には書かれていないダンスシーンによって、本作の最後を飾る話を躍動感あるラストへと昇華させた。

「自分がイメージしたことが具現化するのを楽しみたい」と、自らが出演者とならなかった陣内監督。酷暑の中での撮影にもかかわらず、現場には常にスーツ姿で臨んだ。往年の名監督の様にビシっと正装で演出をすることが自身のテーマだった。「映画は皆のアイディアが集まって出来上がるもの。だから幸せが集まる場所だと思う。」と語る監督にとって、本作がまさに「幸福のアリバイ」的な作品となった。